前回の記事で
「知的障害のあるお子さんが成人していたら、成年後見人を避けるために、遺言書を書こう」と書きました。でも
なぜ成年後見人(以下、後見人)を避けなければいけないのか
なぜ遺言書が必要なのか
深掘りしていきましょう
※「成年後見制度」は、すでに判断能力が下がってしまった方を支える「法定後見」(後見・保佐・補助の3種類)と、元気なうちに将来の後見人を契約で決めておく「任意後見」の2つの総称です。
今回の勉強会では、知的障害のある子に関わってくる法定後見の問題点を学びました。
ほんとややこしい😞
この勉強会は、2023年時点での内容です。
2026年、親なき後対策に影響する法律(民法)の改正案がまとまりました。
これに関する記事はこちら→「2026年、成年後見制度の改正ポイント」(現在作成中)
2023年時点での問題点がわかると、2026年の改正の内容も「そういうことか!」と頷けるかもしれません。
回りくどくなりますが、よろしくお願いします🙇
避けられない「相続」と、後見制度
人は、いつか必ずあの世へ行きます。
人が亡くなった際、残された家族(遺族)には、亡くなった人の財産(遺産)をもらう権利があります。
私が遺言書を書かずに、夫よりも先に死去したら、法律(民法)では、私の遺産は夫、子供の「えぬ」と「でぃー」に、受け取る権利があると定められています。

夫と子供が、私の遺産を受け取るには(遺産の金額に関係なく)
- 遺産を、誰が、いくら相続するか、相続人全員で話し合い(「遺産分割協議」という)
- その内容をまとめた書類(「遺産分割協議書」)を作り
- それに、相続人全員(夫、「えぬ」、「でぃー」)が署名して
- 全員が「実印」という、普段使っている印鑑とは別の印鑑を押さなければいけません
※法律上は認印でも有効ですが、相続時の銀行の手続き、不動産(家など)の名義変更では、実印と印鑑証明書が求められることがほとんどです。
この「実印」が、知的障害のある人にとっては、大きな壁になります。

知的障害者は、実印を使えないこともある
「実印」とは、相続以外にも、重要な契約に使われる特別な印鑑です。
実印は、自分の住んでいる自治体の役所に登録(印鑑登録)する必要があります。
役所側は、手続きする人が、判断能力があるのか、本当に登録しても問題ないのか、確認しないといけません。実印を使って、高額のローンを組まされたり、不動産を購入させられたりなど、犯罪に巻き込まれることを避けるためです。
判断能力がないと役所側が判断すれば、印鑑登録ができない ということになります。
ちなみに北九州市のサイトでは
「申請のできる人:北九州市内に住民登録をしている満15歳以上の人。ただし、意思能力を有しない人は登録できません。」
※出典:「北九州市 印鑑登録の申請」
とありました。「えぬ」も、「意思能力を有しない人」と判断されたら、印鑑登録ができない→実印が使えない可能性があります。
※知的障害があるから、一律に印鑑登録できないということではないようです。
実印を使えない人は、相続時、成年後見人がつく可能性がある
「えぬ」に判断能力がないとみなされ、印鑑登録ができなければ、相続手続きはいつまで経っても終わりません(遺産相続には、相続人全員の実印が必要なので)。
手続きを完了させるには、「成年後見制度」で定められた方法をとらなければいけません。
判断能力がないとみなされた、「えぬ」の代わりに手続きしてくれる人(法的な代理人)を、家庭裁判所に申し立てて選んでもらう必要があります。
この代理人のことを、「成年後見人」といいます。

「後見人にお願いしたらいいんだね、一件落着!」
と言いたいところですが、実はこの制度、多くの問題があるんです。
2023年時点での問題点を、次回の記事で紹介します。


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