「親が元気なうちはまだしも、親なきあとに子供はお金で苦労しないだろうか」
障害のあるお子さんを持つ親は、一度は考えたことがあると思います。
私も「えぬ」にどれくらいお金が必要なのか、お金をたくさん遺さないといけないのではないか、と悩んだ時期もあります。
しかし、2023年の勉強会や、「えぬ」の相談支援員からお聞きしたこと、私の経験から
「えぬ」には、必要以上のお金を遺さないぞ
と決めました。
その理由を書いていきます。
※以下に出てくる金額や制度は、すべて2026年10月時点でのものです。変更があれば追記します。
「えぬ」にお金をたくさん遺さない理由
制度面から:生活を守るために、さまざまな制度がある
障害年金の範囲内で生活できる
「えぬ」の住まい(グループホーム:以下GH)を探し始めた2023年に、当時の相談支援員からお聞きしたことです。
私がお金の面で心配していたのは
- 「えぬ」は、障害年金だけで生活できるだろうか
- お金が足りなくなったら、どうすればいいのか
という点でした。しかし、相談支援員からは
「障害年金だけで生活できるように、料金が決められています」
これは入所施設(障害者支援施設)も同じです。
地域やGHによって差はあるものの、障害年金だけでも基本的に生活できる仕組みがあります。障害福祉サービスの自己負担には所得に応じた上限があって非課税世帯は0円、家賃にも補助があるからです。次回の記事で詳しく書きます。
最終手段として、生活保護を受給する方法もある
とはいえ、物価は上がる一方。「えぬ」も年を取れば、医療費もかかってくるはず。おばあちゃんになれば、介護の費用も加わるかもしれません。
もし、障害年金だけで生活できなくなった時に
- 親も経済的に苦しく、援助できない状況になった
- 「えぬ」の預貯金が底をついた
- 「親なきあと」、他に援助する人がいない(きょうだい児の「でぃー」が援助できない場合)
こんな場合にも、最後のセーフティネットがあります。
それは「生活保護」
障害年金では足りない分を、生活保護で補填できます。
しかも、生活保護を受給すれば、医療費は原則無料です(医療扶助。費用は直接医療機関に支払われ、本人負担はありません)。年齢とともに確実に増えるであろう医療費が無料になるのは大きな利点です。
※ただし、歯科矯正や美容整形などの自由診療、指定を受けていない医療機関での受診は対象外です。また、医療扶助のあり方(一部自己負担の導入など)は国でも議論が続いており、今後変わる可能性はあります。
相談支援員の話でも、生活保護を受給しながらGHで生活されている方はいらっしゃるとのことでした。
※民法では、兄弟姉妹も扶養義務者ですが(877条1項)、どこまで援助するかは扶養する側の資力などを考慮して決めるとされています(879条)。兄弟姉妹の場合は「生活扶助義務」といい、自分の生活に余裕がなければ援助を断ることができます。きょうだい児の「でぃー」が断っても、「えぬ」が生活保護を受けられなくなるわけではありません。2021年には厚生労働省が扶養照会の運用を見直す通知も出しています。
いろんな制度を使えば、最低限の生活はできます。だから、お金の心配をしすぎなくて大丈夫。
「えぬ」の特性から:たくさん遺しても、適切に使えない
お金を「使う力」が弱い
「えぬ」は、もともと物欲がありません。これが欲しい、あれを食べたい、どこに行きたいなど、全くありませんでした。子供のころにいただいたお年玉にも手をつけることはなく、貯金したままです。
今はSnowMan⛄️にハマっていますが、CDやDVDを買うくらい。雑誌やグッズを全部揃えて部屋を埋めつくす!ということはないし、感覚過敏があってライブには行けません。現在のところ、工賃だけで十分まかなえています。
今後も、急に物欲が強くなって散財することは考えにくいです。となれば、それほどお金を遺す必要はないかもしれません。
逆に、知的障害を持つ方の中には、あったらあるだけ使ってしまうタイプの方もいると思います(私たち夫婦はこのタイプ汗)。一度浪費癖がつけば、治すことは難しいし、本人も辛いでしょう。
お金を適切に「使う力」があって初めて、お金から幸せを得ることができると思います。
たくさんのお金を渡すことが、本人にとって真の幸せにつながるのでしょうか。
お金を「守る力」も弱い
以前の記事でもお話ししましたが、お金がたくさんあれば、だまし取られるリスクも増えます。
10万円持っている人と、1000万円持っている人、私が詐欺師なら絶対後者を選びますね笑。
そして、知的障害のある人は、それを防ぐ=お金を「守る力」も弱いです。「えぬ」も、うまく言いくるめられれば絶対にだまされると思います。親として、子供が「カモネギ」になることは避けなければいけません。
そのためには、必要以上に多くのお金を遺してはいけないと、強く思えるようになりました。
※お金を使う、守るなどの力については、別の機会に記事にしたいと考えています。
まとめ:制度を正しく使えば、お金の心配はしなくてヨシ!
「えぬ」が親なきあとも、障害年金の範囲内で生活できる仕組みがあり、それでも足りなくなったときには生活保護を申請できます。
「えぬ」にとっても、障害を持つ他の方にとっても、多すぎるお金は幸せにはつながりません。だまし取られたり、悪質商法の被害に遭うリスクを高める恐れもあります。
「たくさん遺す」ことより「制度を正しく使い、必要な分だけ準備しておく」
これが私の、今の結論です。
でも、「必要な額」って、具体的にどれくらい?
GHでの生活には、どれくらいかかるのだろうか。
私、実際に計算してみました。次の記事に詳しく書いていきます。


コメント